■剣と体術(1)

剣と体術のあいだに関連があることをはじめて出版物で紹介したのは、鶴山晃瑞氏の『図解コーチ 合気道 』ではないだろうか。剣と体術がそもそも総合武術として一体のものであった戦国武術から、江戸時代を経て剣術も体術も流派武術として区々伝承された。そして幕末の危機意識のなかで、各藩では再び再統合がなされ生まれ変わった、こうした歴史的な検証のなか大東流合気柔術のほんとうの姿を検証した。そして剣と体術の具体的接点が『図解コーチ合気道』の「合気武道の理合」のなかに図解をもって残されている。

剣と体術の手ノ裡

鶴山氏は電電柳生新陰流研究会、朝日カルチャーセンターなどで教導したが、新陰流の燕飛之太刀の研究や大東流合気二刀剣に関わる口伝など重要な証言を言い残している。そこで知る剣と体のあいだの濃密な関係性は我々の想像をはるかにこえている。

古流の剣を再現するうえでも、「柔」として伝えられている体術について剣の要素を知るうえでも、鶴山氏は貴重な手がかりを残してくれている。

合気二刀剣の概念図